完全フリーの3DCGソフト「blender」をはじめよう Vol.01

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こんにちは。デザイナー/アートディレクターのbpmです。

今回はじめてKAI-YOU labに記事を書かせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

前回の記事から間が空いてしまいましたが、この記事では「blender」というソフトの入り口として、その概要と基本的な使い方についてまとめていきます。

blenderとは

さて、みなさんは「blender」というソフトをご存知でしょうか。

デザインや映像など何かしらのクリエイティブをやっている人、興味のある方なら聞いたことがある方も多いとおもいます。

実は僕自身もはじめたばかりでまだまだなのですがざっくり説明すると、

blenderは、主にモデリングやアニメーションから映像の編集までこなせる3DCG制作ソフトです。

もっと簡単にいうと、自分でデザイン・整形した3次元オブジェクトを動かし、映像作品なんかもつくれちゃうってことです。

数年前から割と普及していて、すでに日本でも二次創作やFabなんかでよく使われていたり、ゲーム制作ソフトの「unity」との連携にも便利なようです。

なので「blenderをはじめよう」的な記事には若干の今さら感はありますが、クリス・アンダーソンの『MAKERS』的な思想や、YouTubeの360度動画などを見ると、まだまだ3DCGの制作技術は形を変えつつもこれから一般化が進んでいくんだな、と思います。 そういった意味で、数ある3DCG制作ソフトの中でもblenderが素晴らしいなと感じるのは次の点です。

フリーソフトとは思えない充実した機能

まず、blenderの大きな特徴は、このソフトが完全に無償であることです。

3DCG制作ソフトと聞くと高価なイメージを持っている人が多いと思います。実際はピンキリなのですが、3DCG制作ソフトの代表格「Maya」や「Max」などのプロ仕様だったりすると普通に70〜80万円くらいのものもあり、安価と言われているものでも十数万円とかするものが多いです。 blenderのような無償のソフトもありますが、ほとんどは機能制限があったり、単純にクオリティが低かったり......。

では、そんな中で無償提供されるblenderはというと、個人的にはハイエンドな3Dソフトと並べても見劣りしないくらいクオリティも高く豊富な機能を備えていると思います。しかもオープンソースソフトで世界中の開発者たちによりまだまだ進化中。すごい!

良くない点としてよくあげられるのは、ハイエンドなソフトと比べてレンダリングの速度が遅いことと、変態とまで言われる特殊なUIなどでしょうか(UIについては後述します)。blenderについては賛否両論ありますが、とりあえず断言できるのは、このハイクオリティで無料なんてとにかくすごい!ありがとうblenderということです。

そんなblenderのデモムービーを見るとその凄さが伝わると思います。

https://www.youtube.com/watch?v=Fq-g3rQbSic

早速やってみたいという人は

デモムービーを見てウズウズしたら、早速ソフトをインストールしてはじめてみましょう。 下記のblender公式サイトから最新版がダウンロードできます。

blenderのインストールはこちら

blenderの洗礼

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blenderを起動すると画像のように、カメラ、ライトと画面中央に立方体が配置されています。

おそらくほとんどの人がまずこの立方体をどうにかしてみようとすると思いますが、左クリックしても小さなメニューの表示が出てくるだけで立方体を触れません。ここでつまずいてイライラしてしまう人もいるのではないでしょうか。

3Dソフトには特殊なUIを採用しているものが多く、デフォルトだとPCやadobe製品等と全く違った操作が必要になることがあります。

下に、ちょっとややこしいけど最低限必要なblenderの操作・コマンドを4点書いておきます。これらを覚えれば、3Dのオブジェクトを動かしたり消したりできます。

選択は右クリック、決定は左クリック。そして移動するためにはGを

これが一番エッ......?と思ったところです。イラレなんかだと選択してそのまま移動できますがblenderの場合は選択した状態でGを押しましょう。

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全選択はA、もう一度Aを押すと解除

選択をリセットしたいときにはこのコマンドを

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オブジェクトなどの削除はX

イラレ、フォトショに慣れてるとデリートキー押したくなりますよね(画像はobjectモードの場合)

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shift+Aでメッシュ(3Dオブジェクトの外郭のようなもの)などの追加

新規で色々なオブジェクトを追加できます(画像ではUV球というメッシュを追加してます)

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ちなみにマウス操作やコマンドはカスタムできるので、必要な方はFile → User Preferencesか、ctrl+alt+Uでユーザー・プリファレンスを開き設定してください。 ユーザー・プリファレンスを開いたら、inputタブをクリックし、画像部分のselect withのleftのチェックボックスをクリックです。

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3DCG基礎知識

3DCG制作の作業は、以下の流れで行われますが、前後することもあります。

  • モデリング(形成)
  • マテリアル(素材)の設定
  • テクスチャ(質感)の貼り付け
  • アニメーション(動き)の設定
  • シーン(ライトやカメラ)の設定
  • レンダリング(撮影)

今回はモデリングをはじめるための基礎知識までを書いてます。

モデリング

3Dオブジェクトは頂点(Vertices)辺(edge)面(face)という三つの要素から成っています。頂点同士を結ぶ辺で閉じられた部分に面が設定でき、これらを編集してオブジェクトを形成することをモデリングといいます。

そしてblenderで作業をする際は、objectモードとeditモードをtabキーによって行き来します。

objectモード

このモードではオブジェクト単位で、移動、回転、拡大縮小などを行います。 この情報はグローバルに影響し、基本的には個々のオブジェクトの形状に影響しません。

editモード

オブジェクトの形状を細かく編集できるモードです。 基本的に頂点(Vertices)、辺(edge)、面(face)の三つの要素を扱います。

イメージ的には、 editモードでオブジェクトを形成→objectモードでオブジェクトのコアを編集しその状態(位置や大きさ)を決める といった感じです。

モデリングの第一歩

では、editモードを実際に使ってみましょう。ウィンドウ下部を見て、画像で示した部分がeditモードになっていることを確認します。そして頂点(Vertices)、辺(edge)、面(face)の内、どれを動かすかはこの部分で決めます。

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編集する要素のアイコンは左から頂点(Vertices)、辺(edge)、面(face)です。動かしてみましょう。

頂点

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まとめ

ここまでで、選択したオブジェクトを動かし、形成する基礎の基礎がなんとなく分かってもらえてたら嬉しいです。

今回は本当に入り口なので、次は任意の形状にモデリングするための機能の紹介や実践ができたらなと思います。

もちろんネットを検索すれば素晴らしいHow toが既に散らばっています。まとまった時間が取れれば簡単なアニメーションのレンダリングだったら割とすぐできると思うので、興味ある人はガンガン体当たりしましょう。

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